司馬遼太郎の著書「アメリカ素描」(新潮社 昭和61年)を読みました。何度目かの読み返しです。どうも私の文明と文化と言うものの認識の原点は、此処に有ったとつくづく思いました。
司馬さんは「アメリカには、文明は有るが文化は無い!」と力強く言い切ります。文明とは、合理的で、便利で、普遍的なものだから、どの民族にも、人種にも容易に受け入れられ、広まって行きます。一方 文化は不合理で、不便で、或る民族・人種独特で、容易には他民族に受け入れられないものです。
例えば、文明は、多数の人口の食料を確保出来るシステムや、道具を作る技術とか、戦争をして勝つ武器を作るとか、物を早く運ぶ装置を作るとか、兎に角 便利で、人間の能力を遥かに高める為に考え出したものです。でも 結果は殆ど人間の意図した事とは逆の事を齎して居ます。大量破壊兵器や、核兵器です。
文化は不合理で、不便で、無駄です。が 人間の心を豊かにして、潤いを与えて呉れます。音楽とか、絵画・芸術、伝統、習わし,しきたり風習等と言う何百年、何千年と永い時間と無駄と思える努力を重ねて出来上がったものです。
司馬さんは、アメリカの独立以降の200年程度の歴史を見て、アメリカ人達・特にアングロサクソンやユダヤ人達が、執拗に追い求めて来た高能率と、飽く無き強さの先には、弱小国(日本・北朝鮮・アフガニスタン・イラク等)に対する<弱い者虐め>の暗くどす黒い影が有り有りと見えるのでしょう。然も 如何にも「親切ごかし風」に見せて…また其の<弱い者虐め>は、他国に対してだけでなく、アメリカ国内に対しても激しいものが有ります。人口のたった5%にも満たないセレブ層が、他の層に蠢いて居る95%の人達に向けて、其の格差を更に更にと広げて居るのです。此の侭行けばアメリカは内部から大爆発して、崩壊するのではないかと心配します。日本は巻き込まれない様にしなくては!!
2010年8月13日金曜日
アメリカ素描
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