今日の岡崎先生の講義は「源氏物語」の書かれた時代背景を詳しく説明するものでした。それも 只 平安貴族の生活ぶりとか言ったのもではなく、今から1000年前、当時の天皇(一条天皇)・宮中を中心とした勢力争いと、それに大きく翻弄された女達の恐ろしい葛藤ぶりを教えて頂きました。
当時 藤原道長と言う人が居ました。此の人の権勢たるや並ぶ者無きで、此の人に「彰子」と言う娘が居ました。其の彰子を一条天皇の女御として宮中に入れました。勿論 藤原道長の権力に依ってです。
然し 一条天皇には既に「定子」と言う先口の女御が居て、其の時定子は淳康親王と言う天皇の第一皇子を出産したのです。だから当然定子は皇太子の母として揺るがぬ地位を得たと思いきや、其処へ割り込んで来た彰子が父親の権力をカサにきて、定子と並び立ち、凌ぐ勢いを見せたのです。
それと言うのは、定子の父の親の藤原道隆が亡くなって後ろ盾が無くなり、藤原道隆の弟、道長が権力を握ってから宮中の采配を思う様に振る舞い、気の毒な定子は不遇な境遇へと追いやられて仕舞ったのです。因みに定子の女房(世話役)として仕えて居たのが「清少納言」でした。
そして 勢いに乗る藤原道長の娘 彰子は宮中の最高位=中宮となり、一条天皇の皇子 敦成親王を出産、益々不動の地位を築いたのです。此の彰子に女房として仕えたのが紫式部です。
ところで 「源氏物語」の冒頭
『いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらいける中に、…』とありますが、宮中には 天皇のおそばには 多くの女御・更衣と言う女性が居て、我こそは天皇のご寵愛を得んものと美を争っていました。其々の個人の魅力だけで無く、其々の父親の地位・身分の高さも争う要因になるのです。そして その中から天皇のご寵愛が目覚ましいたった一人だけが、「中宮」と言う最高位に就けるのです。でありますから 其の争いの凄さ、激しさ、恐ろしさはこんにちの我々には想像を絶するものだったでしょう。まして 女同士の戦いですから、さぞ陰惨な事極まりないでしょう。
そんな中へ「源氏物語」の冒頭の主人公「桐壺の更衣」が居て、自分の父親の身分はそれ程高く無くて、それなのに飛びぬけて天皇のご寵愛を受けて居ましたから、他の女御・更衣達は収まりません。悔し紛れの猛烈な苛め攻撃に遭いまして、可哀想に病気になり、死んで仕舞います。
こう言うところから「源氏物語」の書き出しが始まるのです。岡崎先生から詳細な時代背景を伺ってから、此の登場人物達の生き様とか悩み苦しみが良く分かります。1000年も前に女性に依って書かれた作品が如何に大作であるかが分かり始めました。
2009年10月22日木曜日
源氏物語其の3
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