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2011年2月5日土曜日

蔵書の整理



 ふと思い立ちまして 我が家に在る本を整理しました。何しろ此れまで出張の道すがら購入した本が、ざっと400冊以上で、此の写真は全体の三分の一で、本の重みで家が傾くなんて妻に言われた位です。
 それぞれの本には色々な思い出が有ります。<司馬遷の史記全巻><司馬遼太郎全集全巻>他、我が家に死蔵しておくよりは、誰方かが読んでくだされば・・・と思いまして業者に出す事にしました。金額にしても大したものでは有りませんが、其れでも其のぶんは障害者施設に寄付をする事にしました。
 本には夫々思い出が有ります。司馬遷の史記は、最初読んだ時には矢鱈登場人物が次々と出て来て「何だこれは?」と思いましたが、繰り返し読む内に、段々内様が理解出来て五回目位を読む時にはスッカリ此の本の愛読者になって仕舞いました。
 紀元前九八年 司馬遷は、匈奴との戦いに敗れて敵軍に投降した、友人李陵を唯一人弁護した為に時の帝 武帝の逆鱗に触れ、死刑を宣告されました。当時 死刑を免れるには莫大な賄賂を用意するか、宮刑(男性のシンボルを切り取り宦官になる)を選ぶしか有りませんでした。
 司馬遷は 其の莫大なお金を準備出来ませんでしたから、恥を忍んで宮刑を選びました。自分には父や祖父から託された「史記」を書き上げる使命が有ったから死ぬ訳にはいかなかったのです。その様な状況下から書かれた「史記」です。読み進む内に其処から司馬遷の鬼気迫る情熱が湧き上がるものを感じました。
 「司馬遼太郎全集」の方は御存知<龍馬がゆく>他、<燃えよ剣>等が有りますが、司馬遼太郎自身は<燃えよ剣>が一番お気に入りの作品だった様です。新撰組副長 土方歳三のドラマチックな生涯を、司馬遼太郎独特の歯切れの好い文章で書かれた作品で、確かに素晴らしい作品です。然し 私個人としては、<新史太閤記>が一番好きです。冒頭の書き出しが「夕景になると遠山がかすむせいか、濃尾平野は悲しいばかりにひろくなる」とありまして、私の故郷の夕景をまさに此の様に見事に表現された文章は有りませんでした。あの テンポのいい司馬文学に此の様なナイーブな表現が有ったのか!!と、今でも此の時の感動は忘れません。

其れ等とも潔くお別れをします。

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