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2010年2月16日火曜日

アメリカ病

矢部 武 著 「アメリカ病」と言う本を読みました。此れには 今のアメリカが病んで居る状態の一端が書かれて居ます。著者は 学者でも、評論家でもなく、今で言うフリーターに属する人で、20歳の頃からふらりと一人アメリカに渡り、アルバイトをしながら移民学校に通ったりして、15年間市民の立場からアメリカに暮らして来て、帰国後はアメリカの本の翻訳・紹介を生業として居る人の様です。其の人<一市民>の目や耳で得たアメリカの事情をかなり辛口で書いて居ますから、大変参考になります。
 こんにちの「アメリカ病」の根源は、1950年代に発生して、こんにち尚「神の言葉」の如くアメリカ人の魂深く浸透している「ポジティブ・シンキング」と呼ばれるものです。其の火付け役となったのはノーマン・V・ピールの著書「The Power of Positive Thinking」<ポジティブ・シンキングのパワー>であった。この本は爆発的ベストセラーになり、今尚多くの人に読まれ、全米中の書店ではいつも在庫切れ状態である。この本の内容は簡単に言えば「ポジティブに考えるのは善であり、ネガティブな考えは悪である」と決めつけて居る。そして 何事もポジティブに考える方法として、 
「自分を信じること」「祈りのパワーを試す」「自分なりの幸福感を創造する方法」「負けると言う言葉は私の辞書にはない」「心配性を治す方法」「心痛を治す処方箋」「人に好かれる秘訣」など、文字通りポジティブに考える為の懇切丁寧にして、如何にネガティブな考えが駄目な事かと繰り返し強調しています。
 此れを全米の暗示にかかり易い連中が読み、「ポジティブだぁ~! ポジティブだぁ~!」とお題目の様に叫び続けて、こんにちのアメリカを作り上げて仕舞ったのです。
 今では 此のポジティブ・シンキングの<呪縛>が災いして、政治家も、企業家も、一般市民も気を休める暇が無く、馬鹿な戦争をやり、投機に奔り、犯罪を犯し、食べ過ぎの肥満になり、心身ともに病気になって仕舞ったのです。
 時には ネガティブになる事も必要なのです。でも アメリカには日本と違って文化と言うカテゴリーが有りませんから、ネガティブの有り難さが分からないでしょうね。

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