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2009年11月26日木曜日

源氏物語 其の7

今日の岡崎先生の講義は、先週の「長恨歌」と「源氏物語・桐壺の巻」の繋がりと言うか、「長恨歌」が此

の物語の下敷きになって居る要旨の説明でした。
 白楽天の「長恨歌」は七言百二十行に及ぶものですが、八世紀 中国の絶世の美女「楊貴妃」と玄宗皇帝の、愛と悲劇の物語を詩にしたものです。 其の展開は 
 1.楊貴妃が玄宗皇帝に見出されて寵愛を受け始める。
 2.皇帝が後宮に3,000人も居た美女の中で、楊貴妃一人を溺愛した。
 3.そして皇帝が政務を疎かにして、来る日も来る日も楊貴妃に溺れた。
 4.挙句に、楊貴妃一族を諸侯に取り立てて沢山の領地を与えて厚遇した。
 5.其の為に、全土に不満が溢れ遂に反乱が起きた。
 6.反乱軍に楊貴妃が殺される。
 7.宮殿に帰った皇帝は、宮殿が楊貴妃の居た時と変わらぬ様子に、更に深い悲しみに浸る。
 8.皇帝は楊貴妃の事が忘れられず、方士(幻術を使って霊界に行ったりする人)に楊貴妃を探させた。
 9.方士は楊貴妃に出会い、楊貴妃は皇帝に形見の釵(かんざし)をたくした。
 10.そして皇帝と楊貴妃だけしか知らない詩を託した。其の詩とは長恨歌の最も有名な一節・・・
 『在天願作比翼鳥 (天にありては願わくば比翼の鳥たらむ)
  在地願為連理枝 (地に在りては願わくば連理の枝たらむ)
  天長地久有時尽 (天の長く地の久しき時に尽くること有りとも)
  此恨綿綿無絶期 (此の恨みは綿々として絶ゆるとき無けむ)』
 此の詩はこの「長恨歌」の最後の一節です。最終行に有る「恨」の一文字を取って「長恨歌」と謂われる
そうです。此の物語の展開が、「源氏物語の桐壺の巻」の下敷きになっている、と言われますと納得してし
まいます。「長恨歌」も「源氏物語」も底知れぬ奥深さを感じました。

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