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2007年12月23日日曜日

今昔物語



昨日から相当な量の雨が降りました。その雨が上がって気温も上昇したので、富士山や周辺の山々から蒸気が立ち昇っています。暖かい希望の霊気が上がって行く様に。

「今は昔・・・となむ語り伝へたるとや」と言えば今から九百年程まえの平安時代末期に編纂されたと言う「今昔物語」です。それまで、国内で編纂された説話集や、中国で編纂された説話集から拾ったり、遠くインドの説話も集めたりして、千二百余の集められています。 此の頃 暗く腹の立つ嫌な話ばかりの時にありまして、何か明るい話題を と思い「今昔物語」を読んでみました。その中から心温まるものを一つ・・・

今は昔 天竺(インド)の田舎に世にも美しい妻を持った男がいた。夫は妻を掌中の珠の如く可愛がり、夫婦仲睦まじく暮らしていた。その国の国王は非常に女好きで、国中から美しい女を強奪しては後宮(后)にしていたが、この美しい妻の評判を聞いて、これも手に入れようと企んだ。

そこで その夫を捕らえて死刑にしようとしたが、すぐに処刑する理由がない。仕方なく 無理難題を吹っかけて亡き者にしようとした。国王は「この先四十里の所に、四種の蓮の花が咲いている。それを七日間で取って来い。そうしたら褒美をやる」と男に命じた。が そこには怖ろしい鬼神が居て、とても生きては帰れないので、打ち萎れて家に帰った男は妻にそれを話した。

美しく賢い妻は、男に有難い呪文を教えて送り出した。やがて行く先に鬼神が現れたので、妻に教えられた呪文を唱えると不思議にも鬼神が天上の神に変わり、男を助けて四種の蓮の花を採って来てくれた。

その花を持って帰って国王に献上すると、国王は改心して「私は 鬼神にも劣る恥ずかしい人間だ。もう二度と邪心はおこさない。早く妻の所へ帰れ」と開放してくれた。妻がどんなに喜んだ事か、二人はそれから幸せに暮らした となむ語り伝へたるとや。

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